こんにちは。ぶんちんです。
作品紹介第25弾は、大学の非常勤講師と親友のおちゃめなガイコツのバディミステリ!
基本情報
・シリーズ名
スケルトン・シドシリーズ
・著者
レイ・ペリー
・訳者
木下淳子
・出版社
創元推理文庫
・ぶんちん的カテゴリー
米国ミステリ
ベテラン女子ミステリ
専門職系ミステリ
翻訳済みタイトル(2019年10月現在)
主人公
・主人公
ジョージア・サッカリー
・年齢
36歳
・仕事
マクウェイド大学の非常勤講師
・家族構成
同居家族:娘、シド
別居家族:姉、両親
(長期休暇で不在の両親の自宅を借りているという設定)
・ペット
犬一匹(バイロン)
・恋のお相手
フレッチャー・ワイルドマン?
(非常勤講師、新聞記者)
・知り合いの警察関係者
ルイス・レイモンド巡査
(姉・デボラのボーリング仲間)
舞台
・国
アメリカ
・地域
ペニークロス
(ニューイングランド地方にある架空の町)
ぶんちんのおすすめポイント
相棒がガイコツというファンタジー要素
タイトルからもわかる通り、ガイコツが登場します。
しかも意思があり、歩いてしゃべるガイコツ。
彼の名はシド。
30年前に、主人公一家と出会い、それ以来一家の家の屋根裏で暮らしてきました。
(そんなわけで、このサイトでは勝手ながら、このシリーズを「スケルトン・シドシリーズ」と呼んでいます。)
以前にも書いていますが、わたしはファンタジー系のミステリはやや苦手。
この小説を初めて手に取ったとき、「ファンタジー系かぁ。。。」と一瞬読むのをためらいました。
ただ、この作品のファンタジー要素は、「ガイコツのシド」の一点のみ。
それ以外の設定は非常に現実的で、うまくバランスが取れています。
ファンタジーに偏りすぎないよう、考えて書かれているのかなと感じました。
ちなみにファンタジー要素のあるコージーとしては、こんな作品も!
大学の非常勤講師たちの現実
物語の現実的な要素の一つが、主人公の職業「非常勤講師」です。
大学の非常勤講師というのは、大変不安定な立場。
数年ごとに職場が変わり、専用のオフィスもありません。
将来も立場も保証されず、「非常勤講師」と名乗るだけで、大学内では一段低く見られます。
金銭的にも苦しいため、授業を多く受け持ったり、仕事を掛け持ちしなければならなかったりで、論文を仕上げる時間も取れないという悪循環。
主人公のジョージアも、なかなか論文を発表できず、終身在職権(定年まで身分が保証された立場)に手が届きません。
作品中には、ジョージアの同僚として、さまざまなタイプの非常勤講師が登場しています。
それぞれに厳しい立場を乗り切ろうと奮闘している姿に、大学や学問の世界の現実が垣間見えます。
自分の存在意義に悩むシド
おしゃべり好きで、ユーモアのセンスもあり、家の中を明るくしてくれるシドですが、「ガイコツの自分」の存在意義に悩み、葛藤する一面も。
ガイコツのシドは、当然ながら、一人で自宅の外に出かけることはできません。
事件の捜査に出かける際にも、カバンに入れて運んでもらうなど、だれかの助けが要ります。
買い物や送り迎え、犬の散歩などもできないため、家事の手伝いも家の中限定。
学校にも通えないし、仕事にも行けない。
家族の一員としての自分に自信が持てず、自己実現も難しい。
「自分はここにいる意味があるのだろうか?」
「なにか役に立てなければ、見捨てられてしまうのではないか?」
「自分の存在する意義を見出したい」
そんな思いから、インターネットなどを駆使し、事件の捜査に全力を尽くすシド。
これは家庭や地域、職場などのコミュニティの中で、誰しもが抱く思いなのではないでしょうか。
役に立ちたい、存在意義を示したいという姿には、非常に共感しますし、心を打たれます。
シドの存在は完全にファンタジーです。
だからこそ、シドの置かれた状況や思いに、読者が素直に自分自身を重ねやすい。
ミステリでありながらも、心が慰められるのは、そういうことなのかなと思います。
おわりに
原作は5作出版されており、現時点で2作の翻訳版が出版されています。
作者のレイ・ペリーさんは 、トニ・L・P・ケルナー名義でもいくつかミステリを発表している作家さんです。
「スケルトン・シドシリーズ」でも、ミステリ部分の読みごたえも十分にあって、作中にちりばめられたヒントから、読者も推理が進められるようになっています。
もちろん、コージーミステリの重要な要素である、生活や仕事の描写も徹底されています。
ファンタジー、ミステリ、リアリティの要素がバランスよく盛り込まれた作品と言えるでしょう。
続編の翻訳出版も期待大ですね!
ぶんちん
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